March 26, 2005
ポアロ登場 / アガサ・クリスティー
「スタイルズ荘の怪事件」以来、ポアロシリーズはわりと積極的に読んでいたが、今回のレビューはミステリそのものの評価や話題性に富む「アクロイド殺し」や「オリエント急行の殺人」といった辺りではなく、出版点数としては少ない短編の一冊目である「ポアロ登場」について。先に示した二冊は有名すぎるほど有名なので、あまり言及しないほうが良いかとも思ったので…
やっぱりジャンルはともかく短編というのはぼくの肌に合っているというのが、第一印象だった。ミステリの短編は、ボリュームが失われるという当然のデメリットの一方で、ぼくにとっては大きなメリットが生じる。登場人物が少なくなることと、事象の時系列な複雑さを考慮する必要のある事件がほとんど無いということだ。このメリットはともかくも、ぼくの記憶力の無さに起因しているのは明らかなので、一般性が全くなくて申し訳無いのだが。
それとは別にもう一点、短編集としての魅力がこの本にはある。それは、複数作品を一冊にまとめたときに、一編々々の話とは別に、本全体から受ける印象が生まれるということだ。「ポアロ登場」に関しては、作品の発表順が必ずしも収録順と一致しているわけではないので、クリスティの技なのか編集サイドの意図なのかは掴みかねるところではあるが、結果的に一冊の本としての魅力を大きく増している。この一冊に関しての魅力とは、ヘイスティングズとの関係を通したポアロというキャラクターへの肉付けということになるだろう。相変わらずといっていいかもしれないが、ヘイスティングズはいかにも単細胞のわりに好奇心旺盛でプライドもそこそこ持っている盛り立て役。一方でポアロは優秀だが自惚れの強い変人。二人の気が合うわけがないというのが常識的な見解だろうが、文中でも概ねその通りである。なにしろ、「当分のあいだ、ぜったいに許さないぞ。すっかりその気にさせたあげくに、笑いものにしやがって。」とか、「ポアロの言うとおりだった。彼の推理はいつも正しいのだ、くそっ!」、というようなセリフがヘイスティングズの口から飛び出す。ヘイスティングズは語り部としての役を担っているので、このセリフは読者の気持ちの代弁とも言えるが、流石にワトスンくんはもう少し聡明だからだろうか、こんな事は言わない。しかし、良き相棒をもってしてこう言わしめるのがポアロというキャラクタなのだ。
ポアロはいつも読者を騙すためにヘイスティングズを騙す。そのお陰で、いつもプライドを傷つけられるヘイスティングズは面白くない思いをする。だけど、そんなヘイスティングズにもこの短編集では、パターンに当てはまらない話がちゃんと用意されている。ポアロの活躍に変わりはなくとも、ヘイスティングズにも救いの道が残されているのだ。それこそが、読者とポアロとを近づけるために敷かれた道のように見える。もちろん一つ一つの短編は完結し、オチのつけかたも悪くない。しかし、ミステリィそのものをカムフラージュとして、ポアロの人間像をより立体的に浮かび上がらせ、そこへのアプローチを示していることこそが、この本のもう一つのトリックと言えるのではないだろうか。
しかし、それによってポアロが好きになるかどうかは残念ながら別問題だろう。ポアロというキャラクタを受け入れられないという方が正常な感覚というものだろうから…
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