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October 30, 2004

中原中也詩集 / 中原中也 吉田凞生編

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  • 10:35 PM
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  • カテゴリー:詩

中原中也詩集 
新潮社/新潮文庫, 2000


月夜の浜辺


月夜の晩に、ボタンが一つ ( )
波打際に、落ちてゐた。 ( )


それを拾つて、役立てようと ( )
僕は思つたわけでもないが ( )
なぜだかそれを捨てるに忍びず ( )
僕はそれを、袂(たもと)に入れた。


月夜の晩に、ボタンが一つ ( )
波打際に、落ちてゐた。 ( )


それを拾つて、役立てようと ( )
僕は思つたわけでもないが ( )
   月に向つてそれは抛(はふ)れず
   浪に向つてそれは抛れず ( )
僕はそれを、袂に入れた。 ( )


月夜の晩に、拾つたボタンは ( )
指先に沁(し)み、心に沁みた。


月夜の晩に、拾つたボタンは ( )
どうしてそれが、捨てられようか? ( )


                              ―― 新潮文庫「中原中也詩集/在りし日の歌」より引用

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