November 10, 2004
どろろ / 手塚治虫
講談社/手塚治虫漫画全集, 1981
手塚治虫の作品だが、彼の作品中においても知名度はそれ程高くは無いということと、エンディングが中途半端で、いかにも打ち切られたかのような終わり方をしているために、この作品に対する一般的な評価は必ずしも高いものではないようだ。それにもかかわらず、モノクロ・カラーにわたる二回のTVアニメ化や、つい最近のゲーム化などに見られるように、元来魅力を多分に含んだ作品である。漫画というジャンルではこの「どろろ」が最もお気に入りで贔屓にもしているのだが、小説ではこれが一番といって決められないことを考えると、この作品はやっぱりぼくにとっては少し特別だと思う。
物語の根幹は、百鬼丸という青年が、自分の躯の部分を取り返すために48匹の妖怪と戦い、躯を一箇所づつ取り戻していくというものである。見聞にわりとカラフルでインパクトも大きいため、「どろろ」というと多くの人が、このような妖怪退治の叢話としてとらえているようだが、これはあくまでもストーリーを流すための舞台装置に過ぎない。その一方で一見物語を支える準主役的役割を担うのがどろろであるが、もちろん作品のタイトルが、このどろろこそが主人公であることを物語っている。どう見たってどろろは、生意気で可愛げの無いひねくれものの糞餓鬼だし、役に立つ場面より邪魔になるということの方が多い。どろろがいなくても、物語に根本的な支障をきたさずにすませることだってできそうな気がする。
もちろん、どろろの存在意義が無いということではない。百鬼丸を唯一主人公にこの話を進めれば、味も何も無い少し暗めの単なる妖怪退治の話に終わってしまう。手塚がこの作品を書いたそもそもの趣意には、水木しげるの妖怪漫画への対抗心があったらしいのだが、まさにそのためだけの作品になってしまうだろう。文字通り不幸を身に纏った百鬼丸に対して、負けず劣らず不幸なはずのどろろは、自らのことをほとんど語ろうとはしない。このように非常に対照的な二人は、互いを自らの相補的な存在のメタファーとして求め合うことで、反発したり惹かれたりという関係を作り上げていく。どろろの視点から百鬼丸をとらえるているからこそ、百鬼丸は前を向いているし、百鬼丸からどろろを見ることで、どろろは自らを振り返ることになるのだろう。
しかしまあ、そんなことはどうでもよくなるほど、この「どろろ」は魅力的な作品であり、どろろは魅力的なキャラクタである。どろろ自身にも、そこに持っていくだけの秘密もあったりする。全四巻と、さほど長くないので機会があれば是非目を通していただきたいと思う。
追記
「どろろ」のゲーム化のことは前にも書いたとおりだが、沙村広明のイラストではどろろが可愛らしい姿で描かれていたのが印象的だった。どろろファンにはちょっとうれしかったりする。
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