February 27, 2006
文学部唯野教授 / 筒井康隆
いやぁ、思いのほか久しぶりのレビューなもので少々戸惑っていますが、とにかく今回は「文学部唯野教授」のレビュー。筒井康隆の作品としてはともかく、フィクション作品としての本書はかなり特殊な存在である。もしヨースタイン・ゴルデルの「ソフィーの世界」を読んだことがある方なら、アレの現代文学理論版+大学文学部の筒井的パロディぐらいの位置付けだと言えば分かり易いかと思う。主人公である唯野教授の講義という形で拡げられる近代欧米における文学理論の展開を一つの軸とし、一方で、文学部教授としての権力闘争や金や癒着にまみれた大学という世界が苛烈なパロディで描かれている。
後者の、大学文学部の世界というものは、(いくら理系であるとはいえ今の時点で)同じ大学という閉鎖的な世界に属しているぼくには、なかなかクリティカルな題材なわけで、少なくとも教授をはじめとする"先生"と呼ばれている人達にとって研究は必ずしも重要なトピックスでないということは不注意な学生だって認めるところだと思う。いくらコミカルに書かれていても、この本を読んで文学部の研究職に就きたいと思う人は、まずいなくなるだろうと心配してしまう様な内容だ。文中での大学名は早治大学とされているが、筒井の出身は同志社なので、そこはどうしたって勘ぐってしまう。さすがに鵜呑みにしてよいという内容ではないが、それにしても文学部の教授村というものはこんなに酷いところなのだろうか…
本書のメインはもちろんもう一つの軸である前者の文学論である。本を構成する9つの章は"印象批評"、"新批評(ニュー・クリティシズム)"、"ロシアフォルマリズム"と進み、"構造主義"、"ポスト構造主義"と締め括られ、唯野教授の講義としてこれらのテーマについての文学論が語られる。おそらくどの一般的な文学論の入門書よりも読み易く、2次的な知識を持たずにすむレベルであれば分かり易い本だと言えるのではないだろうか。もちろん、ぼくがレビューを書くにあたって最も懸念すべきことは、自身が文学理論なんてものに全く無学・無関心だということである。文学論は謂わば文学批評なわけで、ただのレビューとは言ってもブックレビューである以上、作品を持ち上げていようが貶していようが、自らが文学論について考えずに作品を見るということが出来なくなってしまう。これがただでさえメタフィクションである(もちろん作中にも筒井康隆は作家としても作者としても登場する)本作を扱いづらい点である。まぁこの本について批評したり、正しく要約して紹介するほうがはるかに難題なわけで、こうした愚痴をいくら書いても仕方ないけれど。
素人にとって文学論というのは、兎にも角にもとっかかりに乏しいものだ。言葉や文章の一番根っ子の部分をいくら引き出そうとしたって、結局のところ神だのイデアだの自我といった個人にとって超越的なモノを引き合いに出した哲学でしか語ることができないんじゃないかなどと感じてしまう。特に中盤で展開される"現象学"や"解釈学"に至っては、哲学との境界なんてあってないようなものだ。この辺りは読んでいる方も、文学論だということをほとんど忘れてしまう。"記号論"、"構造主義"、"ポスト構造主義"辺りになると、解析の対象もカフカやプルーストやJ・ジョイスといった(古い神話や詩や戯曲に比べれば)身近な存在に移ってきて、随分『読者』としてものめり込みやすくなる。内容的に興味深いのも"構造主義"、"ポスト構造主義"といった終盤部分だった。
新しい主義・主張というものは前提として多くの場合ジンテーゼに対するテーゼの否定から入るわけだけれど、そうした既存のものへの疑問を打ち立てていく段階では、皆それなりに正しいことを主張しているように見えるし、読んでいる方もなるほどと膝を打つ場面が多い。例えば構造主義のフライ牧師についての話から抜粋すると「趣味的な文芸評論家は、講演や軽い随筆みたいな批評をやるけど、これはちっとも科学的ではなくて、別の種類の文芸だ、思いつきを拾い集めただけのものだと言ってます。そして多くの批評は、架空の株式取引所で作家の株価を上げたり下げたりする文学的おしゃべりに過ぎないと言っています。」という部分。これは現在の文芸批評に対してもほとんど当てはまってるんじゃないだろうか。もちろんぼくのレビューも含めて。辛辣だけれども、文芸批評そのものの不完全性を良く表していると思う。一方で構造主義者自身の展開する文学論というものは、文章構造を時間や叙法について分解・分析し、それらを規定の枠に収めて捉えようとするもので、とてもじゃないけど諸手を挙げて賛同できるシロモノではなかったりする。最後に出てくる"ポスト構造主義"に至っては、文学を解析するための自明の根拠とされてきた神だのイデアといった階層的意味構造を作り上げるイデオロギーを、すべて不確定な「形而上学」と見なしてしまって、真っ向から受けて立とうとはしない。結局は、自らをも否定する様なこの主張は、主張の無い主張、あるいは守るべきもののない主張となることによって、一つの到達を得たというところだろうか。
皮肉屋で、問題提起能力に長ける筒井にしてみれば本作は、文学論や文芸批判そのものの空虚さやあるいは、その在り方についての疑問をを提起するものだったかもしれない。一方で、唯野教授の一番印象的だった言葉である、江健三郎の引用部分では、「文学理論は必要です。評価する・あるいは否定する根拠なしの、あいまい主義的な批評にさらされているわが国の作家たちには、それもとくにこれからの小説を書き・発表する若い人びとには、文学理論にたつ批評がなされることほど望ましい話はないはずです。気分次第で賞めたり叱ったりする親ほど教育的でないものはないように、あいまい主義的な批評が若い作家をよく育てうるとは思いません(「『読む』と『書く』の転換装置」より)」とされている。あいまいな批評にスポイルされてきた今の日本の文壇(あるいは文筆業界)を思えば、読む側の不勉強を痛感させられないわけにはいかない。
さて、自由に本を読むことによる享受とあいまいな読書の弊害。無責任な読書歴しかないぼくの天秤にかけるには、これらはあまりにも困難な問題である。
kitworks::bookshelf:????????/????? 私が探していたものです。情報をありがとうございました。
私はあなたについてのこの記事を書くに入れてすべての努力に感謝 kitworks::bookshelf:????????/????? . 私は私のクライアントのいくつかはそれは面白いかもしれないと思うように私は私のウェブサイトにあなたのブログにバックリンクバックを投稿します。
私はあなたが本当に私の主題を理解する助けと言いたい kitworks::bookshelf:????????/?????
dapoxetine review Demarrage du traitement Une fois que lon seulement agit vite il. http://bestonline-dapoxetine.info#43759 - priligy top Donc si vous etes aussi lun parmi nombre de sites en. http://bestonline-dapoxetine.info#39452 - buy priligy 4 sur parmi tous les.
CoLowiptiob xaikalitag bopupeSnolo http://uillumaror.com - iziananatt VomjoupeSoore http://gusannghor.com ReonOppodyMen
viagra compared to cialis propecia minoxidil pharmacy viagra low cost http://www.rwuk.org/?product=viagra-urine-flow - viagra urine flow zithromax dissolve in water http://www.rwuk.org/?product=zithromax-z-pak-250-mg - zithromax z pak 250 mg stroke and viagra
taking viagra with high blood pressure can i buy viagra online viagra and altitude sickness http://www.rwuk.org/?product=medicament-zithromax - medicament zithromax ordering cialis online legal http://www.rwuk.org/?product=levitra-tab - levitra tab kamagra trusted sites